私は昨年度の技術士二次試験に合格し、社内の技術士資格取得塾で講師をしています私が受験生の際に先輩技術士からよく指摘されていたポイントや、現在指導・論文添削をしている受験生の指摘が多い箇所をランキング形式でまとめてみました。
本試験まで残り1ヵ月となり追い込み時期に入っているかと思います。このランキングを参考にして頂き、勉強の材料として頂ければ幸いです。
ランキングはトップ5で作成しています。どの指摘も論文添削を受けたことがある方であれば、一度は受けているのではないでしょうか。論文を書く側だけではなく、読む側に回って初めてわかる部分もあり、その点を踏まえて個々の内容に触れていきます。
最後までご覧ください。
第5位 漢字間違い・字の綺麗さ
まず第5位は、漢字の間違い、字の綺麗さです。
漢字の間違いがあることはもちろんダメですが、字の綺麗さは読み手(採点者)にとって非常に重要です。字が上手に書けない方でも、綺麗に、丁寧に書いているか、そうでないかは読み手にとって非常によくわかります。採点側も人間です。論文試験の点数に直接関係はないかもしれませんが、字が汚い論文を読むことは非常に困難であり、良い印象になりません。
※コミュニケーションの観点からはNGだと私は考えます
心理的な話になりますが、論文を最初にぱっと見たとき、丁寧で読みやすい字だけでも「ちゃんと書けているんだろうな」と不思議と感じてしまいます。それでは不公平と思われるかもしれませんが、人間が採点しているためにそういった補正は無視できない要素だと私自身考えています。
漢字が書けない、字がきれいに書けないは書く練習をすることで修正は可能です。技術士になってからも相手に伝わる文章を書くことは多いので、早いうちに改善するように努力しましょう。
第4位 文章が長い
皆さんは論文を書くときに、一つの文章はどの程度の長さで書いていますか?
そんなん、時と場合によるから長さなんて意識して書いてないわ
このように仰る方もいらっしゃると思いますが、意識していないことが問題です。論文は自分が書きたいことただ書けばよいというものではありません。読み手に伝えることが大前提です。長い文章を書くことで読み手側は、
「結局何が言いたいのだろう」
「なんだかよくわからないなあ」
こんな印象になりかねません。くわえて、書いている自分自身も何が言いたいのかわからない文章になってしまうリスクやねじれ文、「ため~ため~」などのリスクが高まります。わかりやすく端的に「〇〇なので、〇〇が必要だ」や「〇〇をすることにより、〇〇となる」など2行程度で「。」で区切り接続詞を用いて展開するよう心掛けましょう。
第3位 繰り返し
第3位は繰り返しです。
↑まさにこれが繰り返しの典型例です。
タイトルに記述していることをわざわざ論文内で繰り返す記述方法です。分かりづらい例なので、実際の論文(建設部門の例)だと、、、
(1)コンクリートの劣化機構
コンクリートの劣化機構は中性化、塩害、アルカリシリカ反応・・・・・
このようにタイトルの繰り返しをするような文章です。実際にはタイトルだけではなく、設問の一部を論文内で繰り返すことも同様の指摘です。受験生の頃に先輩技術士から私もよく指摘を受けていました。私がこの方法を使っていた時の目的は、文字数稼ぎです。文字数稼ぎを行うことで論文を埋めるということは出来ますが、論文の内容が薄くなってしまい、もっと詳細に書いた方良いことを書けなくなるなどデメリットの方が大きいことは事実です。
指導する側として、オススメはしませんが、この試験に限っては、文字数を調整するためのテクニックとして使用することは有効になる場合もあることも事実です。勉強で論文を作成する際は極力使わず、当日の武器として頭に入れておくのは良いと思います。
第2位 なぜそうなるのか?
皆さんの中にもこの指摘を受けた方はいらっしゃるのではないでしょうか。私もこの指摘を受験生の頃よく受けていました。イメージできない方のために再度例文を交えてみてみましょう。
例文
工事における施工時期の平準化を行うことで、工事の繁閑差を解消して中小企業の技能労働者の月給制導入を促進させる。
一読してみて理解できたでしょうか。読んでみてなんとなくそうだよね。と思う方が多いと思います。しかし、論文試験で表現する内容としては少し論理的な部分が不足しています。
事象を抽出して、この理論を並べてみると、
施工時期の平準化→工事の繁閑差解消→_________→月給制導入環境整備
このような形になります。
上記の________に入る部分の記述がないため、この部分を表現する必要があります。
この機会に皆さんも考えてみてください。
(※解答は1つではありませんのでご自身の考えでまとめてみてください)
上記内容を文章化してみると、、、
工事における施工時期の平準化を行うことで、工事の繁閑差を解消し、_______することで、中小企業の技能労働者の月給制導入を促進させる。
このような文章となるよう論理的に順序よく記述できるように普段の勉強から心掛けてみましょう。
第1位 設問に答えていない
私の経験から圧倒的にこの指摘が多いです。受験生の頃は「答えてますやん!!!」とよく心の中で叫んでいた記憶があります。しかし、勉強を進めていくにつれて、この指摘の意味が段々とわかるようになりました。
※理解力乏しいので時間が掛かったんです(´;ω;`)
この指摘について、具体的にどのようなことが設問に答えていないのか?過去問から回答例文を挙げてみてみましょう。
令和2年度過去問
※建設部門Ⅰ問題より
例えば、この問題を解答する場合、まず最初に課題の抽出を行います。問題に答えていない課題の抽出の例として、以下のような骨子となります。
(1)多面的な課題
1)事後保全から予防保全への転換
2)選択と集中
3)建設産業のイメージアップ
少し極端な例ですが、どこが題意からそれているかわかりますか?ここで指摘となるのは3)建設産業のイメージアップです。一見間違っていないのではないかと思うかもしれませんが、この骨子で作成する場合に問われている内容に合ってきません。しっかりと問題文で問われている内容を確認するように注意して骨子を組むようにしてください。また、今回は例題としてあげませんが、Ⅰ問題とⅢ問題の(3)で問われる「共通して新たに発生するリスク」についてです。(2)に記述した複数の解決策から共通したリスクになっていない場合が多くの受験生で見受けられます。この点も問題に答えていないという判定になりますので、十分注意するようにしてください。
では、次にこのような指摘を受ける原因についてです。主に次のようなことが原因として挙げられます。
①問題文を正しく読めていない
②自分の知識が乏しく、とにかく知っている内容を書く
③書いている途中で混乱
大きく分けるとこの3つになります。上記した原因に対して対策するには、講師による添削を受け、自身の弱点を理解してそれを改善するように務めてみてください。勉強を続ければ必ずこの指摘の意味が分かるようになりますし、自分の知識も増えていきますので、落ち着いて問題を読めば外れた解答はしなくなります。
最後に・・・
今回、指摘ランキングという形で、
よく見る指摘をまとめてみました。
第1位 設問に答えていない
第2位 なぜそうなるのか?
第3位 繰り返し
第4位 文章が長い
第5位 漢字間違い・字の綺麗さ
これ以外にも論文の添削には細かい指摘があります。先輩技術士の講師からの添削内容は、まったく同じになることはありません。それぞれ違うことを言ってくることもあり、正反対の指摘でどちらを参考にすればいいのか、分からなくなることもあると思います。
どっちも言ってること違うし、何が正解なんかわからんのですが、、、
どうすればいいだよ本当。。。
※私も実際そのような葛藤はありました
しかし、考えてみてください。作成した論文はあなたが苦労して書いた論文であり、試験を受けるのはあなた自身です。講師の意見が絶対に正しい訳ではなく、決めるのは自分自身です。
自分の芯(またはスタイル)を明確に持って、添削していただいた意見を参考に、取捨選択しながら良い論文を仕上げていくことが、合格への近道になるのではないかと私は考えています。とにかく諦めずに研鑽に励みましょう!!
以上となります。
長らくご覧いただきありがとうございました。ご不明点等あれば、コメント、Twitterなどからご質問いただければ可能な限り対応いたします。また、この部分をもっと詳細に解説して欲しい等の要望ありましたら、次回以降の記事にしたいと思いますので、コメント、Twitter等でご連絡ください。
ありがとうございました。
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